「年齢にこだわらない採用」—令和7年度の正しいルールとOK例/NG例-
(厚労省パンフ準拠・最新)
目次
なぜ「年齢不問」が原則?
募集・採用では、年齢を理由とする制限は原則禁止です。求人票はもちろん、書類選考や面接で年齢を基準に可否を決めることも違反になります(自社HP・民間求人媒体・ハローワーク、雇用形態は問わず一律に適用)。「年齢不問」と書きつつ実態で年齢選別するのもアウト。
令和7年4月1日時点で公開の厚労省公式リーフレットおよび解説ページを参照しています。(厚生労働省)
例外として年齢制限が認められる6パターン(根拠つき)
パンフでは、厳密な要件を満たすときのみ年齢限定が許されると明記。主な例外は次のとおりです(各ページの「認められる/認められない事例」も要チェック)。
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例外事由1号:定年を上限として、その上限未満の労働者を無期契約の対象にして募集・採用する場合。※有期は不可。
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例外事由2号:法令上の年齢規制がある仕事(例:危険有害業務や警備業務の18歳未満禁止など)。
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例外事由3号イ:長期勤続によるキャリア形成の観点から若年者等(原則35歳未満を想定)を無期契約の対象にする場合。条件の設定方法や認められない例(有期や過度な下限・上限)も明示。
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例外事由3号ロ:技能・ノウハウ継承が必要な特定職種で、30〜49歳の範囲内の5〜10歳幅に限定し、かつその年齢層の労働者が相当程度少ない場合(社内等の実数で立証)。
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例外事由3号ハ:芸術・芸能分野で表現の真実性等が要求される場合(例:子役の募集)。
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例外事由3号ニ:60歳以上の高年齢者や、国の雇用促進施策の対象となる特定年齢層に限定する場合。
ここがNG!—よくあるつまずき
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「体力が必要だから40歳以下」 → 年齢ではなく業務内容・必要能力を明示して募集する(体力は個人差)。
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「若者向け商材だから30歳以下」 → 顧客層ではなく求めるスキル・接客能力を言語化。
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「会社が若手中心だから中高年は浮く」 → 人柄・適性で判断。
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「業務が多くて高齢者は不安」 → 業務分担・工夫で対応可能か再点検。
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「幼稚園バスで若い人」 → 年齢ではなく必要資格・業務内容を明示。
さらに、若年者募集の「○歳以下は経験不問」といった年齢で条件が異なる求人は、原則、求人票を分けて分かりやすく提示するのが適当(厚労省Q&A)。(厚生労働省)
正しい求人票づくり:ゆずりは式チェックリスト
1. 原則
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「年齢不問」を形式で終わらせず、業務内容・必要能力・経験・資格を具体化。
2. 例外を使えるかの判断
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根拠条文(例外事由)に当たるかを先に確認。文言はパンフの表現・幅(例:3号ロの30〜49歳/5〜10歳幅/相当程度少ない)に忠実に。
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無期限定が要件のもの(1号・3号イ等)に、有期を混ぜない。
3. 表現のコツ
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OK例:「50kgの手積み・持久力を要するため、○○能力が必要」「夜間巡回(○回/月)、○資格必須」
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NG例:「若い人歓迎」「40歳以下」「○歳〜○歳のみ」等の年齢表現(例外該当時を除く)。
4. 証拠の残し方
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例外の適用根拠(就業規則の定年、法令引用、社内の年齢分布等)は書面で保存。ハローワーク審査・問い合わせにも対応可。
まとめ
採用難の今こそ、年齢でなく「要件設計」で勝つ。
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職務と要件の言語化 → 間口を広げ、ミスマッチを減らす
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例外は厳格運用 → 無期/年齢幅/根拠資料をセットで
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書式と保存 → 求人票・社内決裁・根拠のひな型を整備